1月11日に発売となった「kamipro Special 2008 SPRING」に掲載されたTAJIRI選手のインタビューが話題となっています。
バック・トゥ・レスリング
ちょろっと発言の一部を引用しますが、できれば購入して全文を読んでください。
「ハッスル発 バック・トゥ・レスリング」
記者:今のプロレスって、とにかく技をどれだけスピーディーに繰り出すか、どれだけあたりが強いか、どれだけ危険かみたいなことを勝負してるじゃないですか。
TAJIRI:最悪ですね。やってる側はそれをプロレスだと思ってるんでしょうけど。
記者:その源流をたどると、どのプロレスになるんですか?
TAJIRI:やっぱり90年代の新日本プロレスのジュニアになるかな。
<略>
TAJIRI:もちろん、当時の新日本プロレスは素晴らしかったですけどね。やっぱり日本はね、土地柄なのか閉塞的な社会で、奇形な進化を遂げているような感じがするんですよ。
記者:いまのプロレスは、新日本ジュニアの奇形ですか(笑)。
TAJIRI:だって奇形が多いんですもん。試合としては。
記者:要するに、いかに危険で。いかに飛んで動きまくるかという。
TAJIRI:意味分かんないですよ。ボクだって「なんでこんなことをやっているの?」って思っちゃいましたからね。それだったら総合格闘技のほうが絶対分かりやすいですよ。だって足を痛めたら必然的に足を狙うじゃないですか。
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TAJIRI:まあ簡単に言ってしまえば、一流のプロレスラーというのは何かというと、やっぱり金を稼げること。そしてお客さんを呼べること。この2つを満たしているレスラーというのは、絶対に「技だけの試合」をやらないんですよ。必ず表情や仕草だとか、あと誰もが納得できる整合性のあるストーリーを見せてくいくもんですよね。
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TAJIRI:一部のマスコミは「ハッスルは手抜きだ!」みたいな書き方するじゃないですか。もう、プロレスのどこを見てるんだって! ハッスルの整合性のある、理にかなった試合を見て「プロレスじゃない」と言うなら、じゃあ何がプロレスだ?って逆に聞きたいですね。やっぱりマットに頭から落っこちてピョンピョン飛ぶのがプロレスなんでしょうかね。
記者:あと、一番ハッスルを否定しやすいのがエスペランサーのレーザービターンなんですよ。「週プロ」の編集長いわく「肉体を使わない技を出された以上、これはプロレスとして扱えない」と。
TAJIRI:けど、プロレスってどんどん進化していくもんなんですよね。たとえばエド・ストラングラー・ルイスのの時代にラ・ケブラーダなんてのはたぶん想像できなかった。それこそレーザービターン級の衝撃だったんじゃないですかね。
他団体の批判を含むような形になってますが、まぁ、「よその団体よりうちのほうが凄い」と思っているのはどこだって同じ。どインディー団体でも「新日本よりうちが上」と本気で考えているところはあるはず。
それをマスコミ通して発言する真意には、やはり、あまりにもハッスルの扱いがヒドイという現状があるんでしょう。
特に、ハッキリと「別モノ」扱いしている
週刊プロレス(唯一のプロレス週刊誌)には、ひとことあって当然。
そこで「プロレスとは何か」に行き止まる。
私はノアやドラゲー・大日本など、試合内容で勝負する(?)団体も普通に見ます。そういう団体でも「技だけの試合」は「イイ試合」止まり、「名勝負」になるにはプラスαが必要。
昨年のベストバウトに私が選んだ「
佐々木貴vs宮本裕向」も、元鳶職の宮本が「勝つための策」として建築現場を舞台としたストーリーがありました。単に「デスマッチだから」「体を張ったから」という理由で評価したわけではありません。
ただ、TAJIRIが言うところはよく分かります。かなり同意です。
「プロレス」の基本形をどこに置くかはいろいろ意見あるでしょうが、「古き良き時代のアメプロ」もしくは「昭和プロレス」を最もオーソドックスなモノとする考え方はありますよね。
そこからすると、ハッスルのほうがそれに沿ったオーソドックスなものであり、他の団体が「奇形」とまでは言わないが、変則的なスタイルであると考えることもできる。
「試合の中に矛盾がない」「“間”を大事にする」「フィニッシュ・ホールドが出たら一発で終わり」。
キャラクターをハッキリさせ、なるべくデカイ選手を使うというのも昭和プロレスにならっている。
あまりにも芸能人を使うことへの拒絶反応が強すぎ。その芸能人すらも真っ当なプロレスで闘っている。
TAJIRIト:HHHやショーン・マイケルズが海川ちゃんの試合を見たら絶賛しますよ、絶対に!
だからと言って、私は今のプロレスを全否定はしません。
TAJIRIが語っているようにプロレスは進化するものです。試合のスタイルも変化する。ルチャや格闘技を取り入れるモノが出て来ない方がおかしい。
TAJIRIは「90年代の新日本・ジュニアが源流」と語っています。今週更新のkamiprohand・GK金沢氏のコラムでは「今のヘビー級スタイルの原点は長州力のハイスパート・レスリングだろう」としています。
私はそれに加え、第2次UWFがプロレスの胡散臭い部分を否定したことを受け、全日本プロレスが反則・両リンを撤廃したことも大きいと考えます。
でもそれは、当時にしたら必要な変化だったかもしれません。
プロレスは進化するもの。
ハッスルも時代に合わせ進化しつつ、レスリングは昔に戻したプロレス。ハッスルだけダメということでいいのでしょうかね。選手もスタッフもいい加減な気持ちでやってないことは伝わってきます。
このインタビューをきっかけに、視点が変わってくればいいんですが・・・まぁ、挑発的だし難しいだろうね(笑)。
一つだけハッスルに注文するなら、もう「ファイティングオペラ」はやめましょう。「プロレス」で問題なし。
※追記(1/20深夜)
で、何を言いたいのかが分かりにくいのでちょっと追記。
要は、「ハッスルがプロレスである」という意見が存在するということ。少なくとも、TAJIRIを始めやってる側にはその意識がある。ファンの中にも同じ意識を持つ人はいるでしょう。
そういう声があるのに、今の時点で「別モノ」と判断できてしまう週プロの姿勢が分からない。
そういうことで。
○○って誰?
実は、このインタビューで最も話題になってるのはココ。
最初に書くと、こればっか記憶に残っちゃうと思ったんで最後に。
TAJIRI:いやね、ちょっと前に、プロレスマスコミから高評価を与えられている某団体の某選手の試合を試合を初めて観たんですけどね。もう完全に引いた! なんじゃこれ?って、もう試合の基本の「き」の字も知らないんですよ。
○○○○の○○選手です。
とにかくヒドイんですよ。相手をトップロープに乗っけて何をするのかと思ったら、失敗して2人とも真っ逆さまに落ちちゃって。
そのあと、普通に起き上がってラリアットをやって勝っちゃう。もう意味が分からない。サイコロジーゼロだし、ストーリーはないし、それなりに体力あって技のあたりも強いんだけど、あんな試合をKUSHIDAやチエがやったら、安生さんが怒り狂ってもう大変ですよ。
さて、誰でしょ?
まぁ、団体はNだと思うが・・・選手はわからん。
一人候補がいるけど、「KUSHIDA&チエ」と比べてるから若手かもしれん。それだと違う。