ストップ・ドント・ムーブ
桜庭和志移籍初戦ということで注目されたHERO'S・有明コロシアム大会、会場は超満員札止め、イイ試合も多かったのだが・・・、最後にアレ?
8.5 HERO'S/東京・有明コロシアム(11900人・超満員札止め)
[11=メ]ライトヘビー級世界最強王者決定トーナメント準々決勝戦
○桜庭和志(1R6分41秒 腕ひしぎ逆十字固め)●ケスタティス・スミルノヴァス
- 桜庭はタイガーマスクで登場。自ら出演のCMを再現。
- スミルノヴァスは「トレーニング・モンタージュ」で入場。
- 1R序盤、スミルノヴァスの左フックが桜庭のアゴを打ち抜く。腰からマットへ落ちる桜庭。チャンスとみたスミルノヴァスは、倒れた桜庭へ次々とパンチを落としていく。レフェリーストップかと思われたとき、ロープ際で殴られていたため、中央へ戻されて再開。
- 試合後・桜庭マイク「どうも。初めまして桜庭です。ちょびっと、何で僕がここにいるのか半分、記憶が飛んでいますけど、これからも頑張りますので、よろしくお願いします。そして、HERO’Sもよろしくお願いします」
- 桜庭は検査のため病院へ直行。コメントなし。
- スミルノヴァスのコメント「勝つはずだった。レフェリーストップが必要だった。ただ、(1R)5分の練習しかしてこなかった。それが不満。5分の準備しかしていないのが悔しい。(1Rが10分と聞いたのは?)昨日のルールミーティングのときだ。(レフェリーが止めてもよかった?)規則によるとストップしているはず。意識を失っていたから。そのときは攻撃をストップしたが、止めなかったら、サクラバは回復した。(意識がないと思ったのは?)ロープ際で倒れているとき。レフェリーストップをすると思い、おかしいと感じた。そのときから、サクラバとレフェリーとの闘いが始まった」
- 谷川P・コメント「桜庭選手の試合に関しては、止めるべきなのか物議が出ているみたいですね。私は見えなかったんですが、もし危ないシーンだったのであれば、レフェリー陣に厳しく言おうと思っています。ただ、桜庭選手は止めるのがとても難しい選手なんですよ。殴られると亀のようになってしまうので、レフェリーは気を使っていたみたいですが。」
- 前田日明・大会後にマイク「この世界で何年もやっているんですけど、思わず心配で席を立ち上がってですね、声を荒げる試合もありました。まぁそれだけ今までにない実力者揃いの試合だったと思います。」
- 前田日明は控え室で「試合を止めるのが遅い!」と大激怒。
亀田の件で散々批判を浴びたTBSがまた“ジャッジ”の不透明さで集中砲火を浴びるのか。
ただ今回の場合は「八百長」という言葉を使うのは当てはまらないように思える。確かに桜庭に負けてもらっちゃ困るんだけど、あれは「ミス・ジャッジ」と見るのが正解か。
何つーか、直接的に「桜庭を勝たせろ」ってな指示が出ていたわけではなく、谷川Pを含める関係者からの「桜庭負けたらヤベーよな」的オーラがジャッジに迷いを与えてしまった。
スミルノヴァスの左フックが顎を打ち抜く。崩れゆく桜庭を目の前で見ていたレフェリーには、その現実を受け入れられなかったのでは。
仰向けにダウンする桜庭、パウンドの追い打ち。
「ストップ・ドント・ムーブ」。
その言葉が出てしまった気持ちはわからんでもないんです。
ほら、ガキの頃とか八方ふさがりでどうにもならない状況となった時、目をつぶって無駄な呪文を唱えたくなるもんじゃないですか。
「時間よ止まれ」
ある意味、止まった。桜庭は勝った。
結果的にはナイスな判断・・・なわけないw
前田さんも怒ってますが、あれだけフラフラのまま続けさせるってのは大事故に繋がる。百歩譲ってあのドント・ムーブがOKだったとしても、試合途中に意志がハッキリしているかどうかの確認は必要だったはず。
ホント、スミルノヴァスがアレで良かった。他の選手だったらラッシュ食らって、どっちにしても完敗&大けが。
一番がっくりくるのは、そんなヘタレ相手にあそこまで追い込まれてしまったという事実。ラッキーパンチだったかもしれないが、ハッキリ言ってスミルノヴァスは噛ませ犬。片ヤオ説も出てくるでしょうが、スミルノヴァスの試合後コメントを見る限り、その可能性は低そう。
亀田に便乗した変な騒動に巻き込まれるのは嫌だなぁ。
それにしても元気な桜庭が見れなかったのは残念。まったくの後付けですが、やや感動モード入ってた入場パフォーマンスの時点から、変な違和感を感じさせていたのかもしれない。勝ってれば「復帰戦に相応しい」なんて言ってただろうがw
とにかく桜庭は生き残った。ジャッジがどうのはおいといて、あの状態から一本を奪ったことには大感動。次戦は別の形で感動させてほしい。
大会終了後に「秋山の判定勝ち」に訂正
もう一つ問題があった試合。
[7]ライトヘビー級世界最強王者決定トーナメント準々決勝戦
○秋山成勲(1R2分1秒 腕ひしぎ逆十字固め)●金泰泳
- 大会終了後、審判団がビデオを見て競技。ミスジャッジを認め「ノーコンテスト」と判定を訂正するも、今回はトーナメントのため勝者を決めなければならず、フィニッシュまでの2分1秒間で判定を行い、秋山の勝利となった。
○秋山(1R2分1秒 判定勝ち)●金
- 秋山・試合後マイク「今の試合、中途半端ですみません。ですが、しっかりと勝って次へ進むのが大切。この勝利を捧げたい二人がいます。一人は、自分の心の奥底にしまわせてください。もう一人は、苦しんでいるオリックスの清原和博に。最後、恒例ですが言わせてください。“柔道、最高ー!!”」
- 金・コメント「腕十字は完全には極まっていないです。伸びていなかった、抜いて上から叩きにいこうとしたところでした。秋山選手が伸びた、と言ってレフェリーが止めたんです。伸びていたら僕もタップしますよ。」
- 秋山・コメント「(試合が止まったのは秋山選手の「伸びた」という声だったのか?)自分が言う前にリングの下にいた審判の人が「危ない」って言ってて、それでまた伸ばしたら音がしたので、これは危ないなと。」
K-1の場合は大会後に判定が覆るケースが普通に(?)ある。今回のストップはどうですかね。
レフェリーが止めた時点では、確かに技が崩れ極まっていないように見えた。ただ、その前の腕が伸びた状態は…極まっていたかも。まぁ、関節技は腕が伸びていても支点がズレてれば極まらないものですから、素人目には分かりませんけど・・・。
ただ、試合自体は秋山が優勢、そのまま続けていても結果は同じだったかもしれない。
ミドル級は面白かった
そのほかの試合結果。
第1・2・9試合=スーパーファイト
[1]○朴光哲(判定 3-0)●アレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラ
[2]セーム・シュルト(1R4分46秒 三角絞め)●キム・ミンス
[9]○ドン・フライ(1R4分52秒 チョークスリーパー)●山本宜久
- 山本・試合後コメント「今日は一言、完敗です。自分の心と体がバラバラなんで、限界かなと思っています。 」
第3~6試合=ミドル級トーナメント準々決勝
[3]○アイヴァン・メンジバー(判定 2-0)●所英男
[4]○J.Z.カルバン(1R0分30秒 右跳びヒザ蹴り→パウンド→KO)●高谷裕之
[5]○ハニ・ヤヒーラ(1R1分8秒 チョークスリーパー)●安廣一哉
[6]○宇野薫(2R3分30秒 チョークスリーパー)●ブラックマンバ
- 宇野マイク「これが総合格闘技です。HERO’S見に来てください。あと2つなんで。今日勝てたのは皆さんの応援のおかげです。」
第8・10試合=ライトヘビー級トーナメント準々決勝
[8]○メルヴィン・マヌーフ(1R9分12秒 パウンド→TKO)●クラウスレイ・グレイシー
[10=セ]○大山峻護(判定 2-0)●ホドリゴ・グレイシー
- ホドリゴ・試合後コメント「(判定に)特に不満はない。判定に文句を言う前に決着をつけることだ。」
問題のあった2試合を大きく取り上げてしまったが、他の試合は素晴らしいモノが多かった。
所vsメンジバーは寝技で魅せる名勝負。噛み合いまくりでまったく飽きず。所が負けてしまったのは残念だが足関であと一歩まで追い込む姿には「オオッ!」と思わず声が出るほど燃えてしまった。
メンジバーは誰とやっても噛み合いそうでHERO'Sには欠かせない選手となりそう。実況の中でも触れられていましたが、彼はプロレスの経験があります。
3/15 HERO'S武道館大会選手紹介② イヴァン・メンジヴァー [ くまページBlog ]
99年~01年、カナダで2年ほど。おそらくローカルのインディー団体でしょう。そこで芽が出なかったため総合へ。
メンジバーのHP内にある動画の中に、一瞬ですがプロレスをしているシーンが映っています。
IVAN MENJIVAR -- The Pride of El Salvador
ページ下のVIDEOSをクリックでスタート。映像の中盤に30秒ぐらい。
なかなかの動きを見せていたんで驚いた。
フライングメイヤー(首投げ)を前宙や側転で着地。これ、なかなかできないですよ・・・。ちょっとプロレスも見たくなる。彼の中でプロレスにどんな思い入れがあるのか聞いてみたい。
宇野vsブラックマンバも名勝負。もう、マンバをイロモノ扱いしてた人は全員土下座だな(笑)。相当寝技が強い人でなければ勝てなかっただろうね。
宇野の試合後マイクが染みる。
「これが総合格闘技です」
ホントはこういう試合を大きく取り上げなきゃマズイんだろうなぁ。まあ、桜庭は別格ですがね。
トーナメントにも残った選手は以下の通り。
ミドル級
アイヴァン・メンジバー(アメリカ)
J.Z.カルバン(ブラジル)
ハニ・ヤヒーラ(ブラジル)
宇野薫(日本)
ライトヘビー級
秋山成勲(日本)
メルヴィン・マヌーフ(オランダ)
大山峻護(日本)
桜庭和志(日本)
ミドル級は強豪揃いでホント楽しみ。優勝予想が難しい。ヤヒーラも相当強そうですしねぇ・・・。
たぶん、「宇野vsメンジバー、カルビンvsヤヒーラ」の組み合わせになると思うけど。
ライトヘビー級は3人も日本人が残った。このメンバーがこの階級最強を決めるとは思いませんが・・・桜庭の次はホント負けられないしねぇ。昨日の感じでは秋山のパンチにKO負けなんて最悪のパターンも予想されちゃうのかも。
あとは、欠場者が出ないことを祈る。ミドル級なんて途中参加ばっかりでトーナメントじゃないからね。
あとは桜庭の体調も心配。
高山善廣「あれはマズイでしょ」
関係者のコメントをBLOGなどから拾う。
高山善廣 桜庭の不可解判定に… [ デイリースポーツonline ]
結果は奇跡の逆転勝利となったが、試合の感想を求められると、開口一番「あれはまずいでしょ」とレフェリングに言及。困惑した表情で「それ以上、僕の口からは言えません」と会場を去った。
昨日のHERO'S [ “リアルタイガーマスク”勝村周一朗 ] ※スミルノヴァスのセコンド
やっぱ所英男ほど見てるものを魅了する選手はいないんじゃないかと思った。
興奮して叫んでいた。
あれだけ動いて、あれだけ仕掛けて、あれだけ攻められて、最後にまだ十字にいけるスタミナと気迫。会場中、応援せずにはいられない雰囲気になったのではないだろうか。もちろん普段のキャラクターのせいもあるだろうけど、あれだけの試合を見せられたら惹きつけられてしまう。
花道の扉を過ぎたときに見せた大粒の涙。
そして控え室での言葉「練習したことしか出せないんですね・・・。でも、練習したことは出せるんですね・・・。」 選手として胸に響いた。
きっと所英男はもっと進化すると思う。 僕も引き離されないようにしなければ。
そしてメインイベント。
スミルノヴァスのセコンドをやっていたせいもあってか、とにかく早く止めて欲しかった。
僕がスミルノヴァスにできる唯一のアドバイスの「GO!」さえ言うのを躊躇ってしまった。
レフェリーが試合を一時中断しない限りリングドクターに試合を止める権利はないらしい。ドクターが嘆いていた。
試合が終わってまず思ったのは「事故が起きなくてよかった」ということ。
そしてTVで見ている人に格闘技を嫌いにならないでほしいと思った。
以上。
※実は昨日の深夜にBLOG書きながら寝てしまった・・・。昼に起きて今up。